2023.08.10
お菓子な博物館 第34回 ~ レトロなラベル‼昭和のサイダー編 ~
貴重なコレクションを皆様にご紹介する 「お菓子な博物館」へようこそ
目次
毎日暑い日が続きますが、そんな夏にぴったりの飲み物といえば、炭酸飲料。
今回は第7回の「サイダー&ラムネ編」では紹介しきれなかった昭和初期のレトロなサイダーラベルを中心にご紹介します。
出典:写真AC
サイダー・ラムネの歴史もわかる、お菓子な博物館 第7回「サイダー&ラムネ編」の記事はこちら
お菓子な博物館 第7回 ~炭酸はじける‼ サイダー&ラムネ 編~
1.平野水と三ツ矢サイダー
平野水とは、現在の兵庫県川西市平野の鉱泉から瓶詰にされた炭酸水のことで、1884年(明治17年)に発売、三ツ矢サイダーのルーツでもあります。1909年(明治42年)には帝国礦泉(現在のアサヒ飲料)から「三ツ矢シャンペンサイダー」が発売されています。
三ツ矢サイダーの由来などについてはこちら
出典:アサヒ飲料HP
①
「平野 シャンペンサイダー ジンジャヱール」の木製看板です。(高さ約76cm)
三ツ矢のマークがあり、 “天然炭酸瓦斯(ガス)” “東洋唯一”とあります。
②
帝国礦泉の「三ツ矢平野水」のラベル。1897年(明治30年)に東宮(後の大正天皇)の御料品に採用されたことから、「宮内省御用達」の文字が入っています。
③
こちらは昭和中期のサイダー瓶。(左)「リボンシトロン」 (右)「三ツ矢サイダー」
現在のペットボトルに比べると、やはりガラス瓶ならではの独特のレトロ感がありますね。
「リボンシトロン」は1909年(明治42年)に大日本麦酒から発売されたロングセラー炭酸飲料です。(写真はサッポロビール時代のもの。現在はポッカサッポロフード&ビバレッジより北海道限定で販売。)
2.昭和初期のサイダーラベルコレクション
大正・昭和初期から中期には様々なサイダーが販売されており、飲み終わったサイダー瓶からラベルをはがして収集する方もいたようです。そんな貴重なコレクションを一挙紹介。当時のサイダーの人気ぶりが伺えます。
④
「地球星シャンペンサイダー」“本品は精撰せし原料にて製造したる最良の好飲料なり”とあります。
⑤
「初櫻(ハツサクラ)シャンペンサイダー」 食料品博覧会での「壱等賞金牌受領」をアピールしています。
⑥
「ナニワシャンペンサイダー」と「ナリキンシャンペンサイダー」
“成金サイダー”というネーミングが面白いですね。
⑦
軍配印の「グンパイシャンペンサイダー」と「三ツ矢ジンジャーエール」
まだ著作権がそれほど厳しくはない時代だったのでしょう。三ツ矢を意識した?商品が次々と登場します。
⑧
扇印の「三ツ扇ジンジャーエール」 何だか色目も似ていますね。
⑨
「蘇鉄シャンペンサイダー」 植物のソテツの葉もなぜか3つ。
⑩
「三ツ銀杏(イチョウ)シャンペンサイダー」 デザインが何とも言えませんね。
さて、今回はここまで。
昭和初期の人たちが飲んでいたサイダーラベルの数々、楽しんでいただけましたでしょうか。
実は写真②及び④~⑩のラベルはすべて同じ冊子に貼られていたものです。収集された方はよほどお好きだったのでしょうか、サイダーを中心に100点近くもの飲料ラベルがずらっと並べられています。
実際にはどんな味だったのか気になるところですが、今ほど多種多様な飲み物も無い時代、少し甘味のあるサイダーは当時の人たちにはきっと特別なものだったのでしょうね。
お菓子と一緒に冷えたサイダー、夏休みにいかがですか。
※前回の記事はこちら
<今回の展示品>
① 木製看板 「平野 シャンペンサイダー ジンジャーヱール」 / 大正~昭和初期頃 約76×18cm
② ラベル 「三ツ矢平野水」 帝国鉱泉 / 大正~昭和初期頃
③ ガラス瓶 「リボンシトロン」 サッポロビール(現:・ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
「三ツ矢サイダー」 朝日麦酒(現:アサヒ飲料)/ 昭和中期
④ ラベル 「地球星シャンペンサイダー」 UEDE/ 昭和初期頃
⑤ ラベル 「初桜シャンペンサイダー」 初櫻サイダー / 昭和初期頃
⑥ ラベル 「ナニワシャンペンサイダー」 タニグチ・「ナリキンシャンペンサイダー」カワバタ/ 昭和初期頃
⑦ ラベル 「グンパイサイダー」 リョウセンシャ・「三ツ矢ジンジャーエール」 帝國礦泉/ 昭和初期頃
⑧ ラベル 「あふぎ印ジンジャーエール」 UEDE/ 昭和初期頃
⑨ ラベル 「蘇鉄シャンペンサイダー」 イグチ/ 昭和初期頃
⑩ ラベル 「三ツ銀杏シャンペンサイダー」 ユカワ/ 昭和初期頃
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)