2023.02.27

お菓子な博物館 第33回 ~ 昭和レトロなドロップ缶 編~


貴重なコレクションを皆様にご紹介する 「お菓子な博物館」へようこそ

目次

 

サクマ式ドロップスで知られた佐久間製菓が1月20日をもって廃業ということで、注目された缶入りのドロップ。

今回はサクマ式以外にも昭和レトロなドロップ缶をたっぷりとご紹介します。

ドロップ

出典:写真AC

 

 

1. サクマ式ドロップス

 缶入りのドロップというと、まず思い浮かぶのが赤い缶のサクマ式ドロップス(佐久間製菓=2023年1月廃業)と緑の缶のサクマドロップス(サクマ製菓=「いちごみるく」でお馴染み)ではないでしょうか。

 どちらも創業者は国産初のドロップを製造した佐久間惣治郎で、戦争の影響により昭和19年(1944)に一時廃業したところから、戦後に別々の会社になったようです。

 

 

サクマ式ドロップス(紙ラベル)

明治41年(1908)、佐久間惣治郎が夏でも糖化しないという「サクマ式ドロップス」を発売しました。当時はばら売りで、缶入りドロップが発売されたのは大正2年(1913)でした。

これは創業間もない頃のもので、ブリキ缶に紙ラベルが張られたものです。(左側面に取りだし用の穴があります。)

当初から赤い缶だったのですね。

 

 

 

サクマ式ドロップス 大

変わった形ですがこちらはばら売り用のブリキ缶です。高さは約31cm。

「一貫八百目入」との記載があり、一貫を3.75kgとすると、なんと6.75kgのドロップが入っていたことになります。

店頭にでも置かれていたのでしょうか。

 

 

 

サクマ式ドロップス(ふた部分のみ)

昭和中期の「サクマ式ドロップス」。缶ではありませんが、おそらくドロップ缶が入っていた紙箱のふた部分です。

当時はこんな形のドロップだったようです。

 

 

 

サクマ式ドロップス 5種

平成5年(1993)頃のサクマ式ドロップスはこのようにサイズもいろいろ。

復刻版もありましたね。

 

 

 

2.  昭和レトロなドロップ缶

 

森永ドロップス3缶入

大正7年(1918)に輸出用として製造され、その後国内でも発売された「森永ドロップス」。

3缶がセットで化粧箱に入った商品です。(昭和初期頃)

当時は贈答品としても用いられていたことがわかります。

 

 

明治ドロップ

「明治ドロップ」 こちらも昭和初期頃のものです。

この時代はデザインもレトロでかわいいですね。

 

 

七福ドロップス

ここからは昭和中期頃のドロップ缶です。

まずは何だかおめでたい「七福ドロップス」。きっと7種類のドロップが入っていたのではないかと思われます。

 

 

トキワヤのドロップス 2個

「トキワヤのドロップス」、赤と青のドロップ缶です。

パッケージには、パイナップル・メロン・りんご・レモン・みかん・いちご・バナナ・ぶどう、そしてハッカの葉も見られます。

 

 

業務用ドロップ缶 3個

こちらは今ではまず見ることのない一斗缶の3分の1サイズの業務用ドロップ缶です。

左から「森永ドロップ」「明治ドロップ」「サクマドロップス(サクマ製菓)」。

現在では、おせんべいの缶などによくみられるサイズ(約23×23×11cm)ですが、よくみると森永ドロップは4kg入り。

当時のドロップの人気ぶりが伺えますね。

 

 

さて、今回はここまで。

こうして見ると、ドロップは昔から缶入りで、さまざまな味もあったことが分かります。

缶を振って、何味が出てくるのかも楽しみでしたね。そして欲しい味が出ない場合は戻すのもあり(笑)

 

最後に問題です。ドロップとキャンディって何が違うかご存じですか?

実はドロップは分類上では“ハードキャンディ“の一種なのです。なるほど‼

 

 

 

以前、昭和30年代頃の車やカメラ型のドロップ缶もご紹介しておりますので、こちらもご覧ください。

お菓子な博物館 第6回 ~お菓子な玩具(おもちゃ)~編

 

 

 

※前回の記事はこちら

お菓子な博物館 第32回 ~ 卯年 うさぎが描かれた引札 編 ~

 

 

<今回の展示品>  

① 菓子缶 「サクマ式ドロップス」 佐久間製菓 /大正時代頃  約11×16×4 cm

② 菓子缶 「サクマ式ドロップス」 ばら売り用 佐久間製菓 / 大正~昭和初期頃  約16×23×31 cm

③ 菓子箱(ふた部分) 「サクマ式ドロップス」 佐久間製菓 / 昭和中期 

④ 菓子缶 「サクマ式ドロップス」5種 佐久間製菓 / 平成5年頃   一番大きいものが 高さ 約13cm

⑤ 菓子缶 「森永ドロップ詰合せ(オレンヂドロップス・チョコレートドロップス・森永ドロップス)」 

森永製菓 / 昭和初期  約12×26×3.5cm

⑥ 菓子缶 「明治ドロップ」 明治製菓(現:明治)/ 昭和初期  約 4×10×14cm

⑦ 菓子缶 「七福ドロップス」 丸福製菓 / 昭和中期  約4×9×11cm

⑧ 菓子缶 「トキワヤのドロップス」 トキワヤ製菓 / 昭和中期  高さ 約5×13×18cm

⑨ 菓子缶(1/3斗缶)「森永ドロップ(フルーツ)」 森永製菓・「明治ドロップ」 明治製菓(現:明治)・「サクマドロップス」サクマ製菓 / 昭和中期  約23×23×11cm

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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