2020.06.29
お菓子な博物館 第6回 ~お菓子な玩具(おもちゃ)~編
目次
今も昔も子どもたちが大好きなものといえば、お菓子と玩具(おもちゃ)。
この二つが一緒に楽しめる玩具菓子は現在でも人気があります。
特に容器に工夫を凝らした商品は見た目にもおもしろく、お菓子を食べた後の容器で遊んだ記憶は誰にでもあるのではないでしょうか。
今回ご紹介するのは、昭和30年代頃のブリキ製のお菓子の缶です。
缶といっても玩具として十分遊べるものであり、自動車やカメラが当時の子どもたちにとって、憧れだったことがわかります。
1. 乗り物いろいろ
(1)ヤシマドロップス 自動車型
①ヤシマドロップス 自動車型
車型のドロップ缶です。なぜか運転しているのが子ども(しかも左ハンドル)というところが、いかにもお菓子らしいですね。
反対側は英語表記になっていますので、やはり外車をイメージしていると思われます。
(2)ボートドロップス ボート型
②ボートドロップス ボート型
その名も「ボートドロップス」というボート型の缶です。
輪ゴムの力を利用して、底についているスクリューをまわせば、実際に水の上を走らせることができる本格的なもの。
お風呂などで浮かべて遊んだのかも知れません。
(3)FUJIYA SWEET CAR
③FUJIYA SWEET CAR
こちらは、1960年代頃の「FUJIYA SWEET CAR」。
車の後方部扉が開くようになっており、中には不二家のお菓子が詰められていたと思われます。
2020年、ペコちゃん生誕70周年を記念した車型のギフト缶「ペコちゃんレトロスイーツカー」が発売され、当時のイラストが再現されています。
(参考画像)ペコちゃんレトロスイーツカー
出典:㈱不二家HPより
2. カメラ型
乗り物と共に人気があったのは、カメラ系の缶です。現在ですと、スマートフォン型のお菓子に通じるものがありますね。
(1)カメラ型
④ミックスキャンデー カメラ型
当時の一般的なカメラ型のキャンディ缶です。首からぶら下げられるように紐もついています。
(2)8ミリ型
左:⑤サクマドロップス 8ミリ型
右:⑥佐久間製菓 佐久間のクリちゃん 8ミリ型
こちらは8ミリ型のドロップ缶です。
8ミリとは8mm幅のフィルムを利用したカメラのこと。ホームビデオカメラが普及するまでは、高額ながら、家庭でも撮影に使われていました。
昭和30年代には数多く作られていたブリキ玩具も、40年代をピークにコストの低いプラスチックにおされ、徐々に姿を消していきます。お菓子の容器も同様にプラスチック製やスチール缶へと変わっていきました。
しかし今では、ブリキ玩具はプラスチックにはない魅力が愛され、その価値も見直されています。
こういったお菓子の缶が残っているのも、食べて遊んで、そして大切に保管されていたからこそ、なのでしょう。
※前回の記事はこちら ↓
<今回の展示品>
① 菓子缶 ヤシマドロップス 自動車型 / 八洲食品工業 昭和30年代頃 16×7.5×5 cm
② 菓子缶 ボートドロップス ボート型 / アヅマ製菓 昭和30年代頃 15.5×6.5×3 cm
③ 菓子缶 FUJIYA SWEET CAR / 不二家 1960年代 20×8×9.5 cm
④ 菓子缶 ミックスキャンデー カメラ型 / サクマ製菓 昭和30年代頃 4×11.5×8 cm
⑤ 菓子缶 サクマドロップス 8ミリ型 / サクマ製菓 昭和30年代頃 4×8×12.5 cm
⑥ 菓子缶 佐久間製菓 佐久間のクリちゃん 8ミリ型 / 佐久間製菓 昭和30年代頃 4.2×10×10 cm
所蔵:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)