2025.12.03

お菓子な博物館 第37回 ~ 港区立郷土歴史館「暮らしの中のお菓子展」への出展協力 編 ~


 

貴重なコレクションを皆様にご紹介する 「お菓子な博物館」へようこそ

目次

 

私たちの暮らしに欠かせない存在である「お菓子」。そんなお菓子をテーマにした特別展「暮らしの中のお菓子展」が、港区立郷土歴史館で開催中です。(開催は12月14日まで)

実は、港区立郷土歴史館のご担当者が、「お菓子な博物館」をご覧くださったことをきっかけに、問い合わせをいただき、今回の出展協力につながりました‼

 

「暮らしの中のお菓子展」チラシ

出典:港区立郷土歴史館

 

1.港区立郷土歴史館 「暮らしの中のお菓子展」について

 

港区立郷土歴史館は、昭和13(1938)年に竣工した旧公衆衛生院の姿を保存しながら、自然・歴史・文化をとおして港区を知り、探求し、交流する拠点となる施設です。 

港区立郷土歴史館・建物外観

見学した日はあいにくのお天気でした。

港区立郷土歴史館・建物内部

建物内部も趣があって素敵です。

 

 

今回の特別展はこちら。

◎展示会名:港区立郷土歴史館 令和7年度特別展

「暮らしの中のお菓子展」

◎開催場所:港区立郷土歴史館 特別展示室

        (東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内)

◎開催期間:2025年10月18日(土)~ 12月14日(日)<休館日:11月20日(木)>

詳細は港区立郷土歴史館のウェブサイトをご確認下さい。

https://www.minato-rekishi.com/exhibition/okashi.html

 

日本における菓子のはじまりから現在にいたるまでの移り変わりを見ていくとともに、年中行事や祭礼の様子を描いた浮世絵、菓子型下絵帳、菓子の木型などから行事食として作られる菓子や季節の風物を表現した菓子を紹介されています。

 

 

 

2.  出展協力したお菓子たち

 

それでは、今回、出展協力している資料の中からいくつかご紹介します。

 

飴売渦松

江戸の菓子屋のコーナーで紹介された浮世絵 「飴売渦松『市村羽左衛門』」 芳艶・画 文久元年(1861)

当時人気の飴売りの様子を歌舞伎で取り上げた場面を描いた作品です。

 

 

風月堂 乾蒸餅版画_加工②右は一部を拡大

明治時代の西洋菓子の広がりとして紹介されたのは、明治29年発行の版画「東京自慢名物會」。

 「乾蒸餅(ビスケット)歐州菓子製造本舗」として 風月堂が描かれています。 

 

 

戦前の菓子として紹介されたのが

サクマ式ドロップス(紙ラベル)

佐久間製菓「サクマ式ドロップス」の菓子缶。大正2年(1913)に缶入りのドロップが発売されましたが、当時はブリキ缶に紙ラベルが貼られたものでした。

 

ビスコ広告(部分) ④

ビスコ発売当時のちらし広告 「出た!酵母菓子ビスコ」(部分) 昭和8年頃のもの。 

 

ビスコ陳列台 ⑤

昭和10年代頃の ビスコ陳列用台(紙製)。初代ビスコ坊やが登場しています。

 

不二家ミルキー ⑥

戦後の菓子として、不二家「ミルキー」。今のペコちゃんとは少し雰囲気が違いますね。

 

ロッテグリーンガム・クールミントガム 加工 ⑦

高度経済成長期の菓子として、ロッテ「グリーンガム」「クールミントガム」の昭和30年代の包み紙です。

 

 

浮世絵 浮世年中行事_皐月 ⑧

年中行事と菓子のコーナーでは、柏餅を作る様子を描いた浮世絵 「浮世年中行事 皐月」(三代目歌川豊国)も紹介されています。

 

 

最後に展示の様子を少しだけご紹介。(許可をいただき撮影しています。)

特別展 展示風景

 

 

さて、今回はここまで。

出展協力した資料のみの為、全体からみればごく一部の紹介でしたが、会場には他にも興味深い資料がたくさんあり、お菓子の歴史が分かりやすく展示されています。ぜひ足をお運びください。

もちろん、地元・港区にゆかりの菓子屋も紹介されています。(そして、本社が港区にある森永製菓さんの資料も多く出展されていました。)

 

普段は一般に公開することがない「お菓子な博物館」の資料ですが、このような機会を設けてくださった港区立郷土歴史館に、深く御礼申し上げます。

 

 

出展協力のきっかけとなった記事はこちら

お菓子な博物館 第14回 ~2月28日はビスケットの日 編~

お菓子な博物館 第23回 ~ 昭和中期のパッケージ<キャラメル> 後編~

お菓子な博物館 第4回 ~端午の節句と柏餅編~

 

 

<今回の展示品>

① 浮世絵 飴売渦松「市村羽左衛門」 /芳艶・画 文久元年 約36✕24cm

② 版画 「東京自慢名物會」  /豊原国周等 明治29年 約38×26cm

③ 菓子缶 「サクマ式ドロップス」 /佐久間製菓 大正時代頃  約11×16×4 cm

④ ちらし広告「出た!酵母菓子ビスコ」/江崎(現:江崎グリコ)  昭和8年頃

⑤  ビスコ陳列用台/グリコ(現:江崎グリコ) 昭和10年代頃  39×12cm(平面時のサイズ)

⑥ 外箱「ミルキー」/不二家 昭和中期

⑦ 包み紙「「グリーンガム」「クールミントガム」/ロッテ 昭和30年代

⑧ 浮世絵 「浮世年中行事 皐月」 /三代目歌川豊国 弘化元年(1844)  約35 cm × 73 cm

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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