2020.04.30

お菓子な博物館 第4回 ~端午の節句と柏餅編~


目次

 

今回は、まもなく迎える端午(たんご)の節句にちなんで、江戸時代の柏餅(かしわもち)に関する版画をご紹介します。

 

1. 端午の節句 

子ども達の成長を願う、5月5日の端午(たんご)の節句。

端午とは、もともと月の初めの午(うま)の日のことで、中国の風習にあった五月の物忌みが奈良時代に伝わり、日本でもこの日に邪気を払うための行事がおこなわれるようになったそうです。

端午の節句といえば、鯉のぼり、五月人形、菖蒲(しょうぶ)湯などが思い浮かびますが、やはり欠かせないのが柏餅(かしわもち)粽(ちまき)ではないでしょうか。同じ節句菓子でも、関東では柏餅、関西では粽が好まれるそうです。

 

⇒「節句」については、『ひなまつりに関するエトセトラ』でも紹介されています 。

> ひなまつりに関するエトセトラ

 

2. 年中行事としての柏餅 

粽が平安時代に既に日本に伝わり、宮中での行事にも使用されていたのに対し、柏餅が登場するのは江戸時代になってからです。

あんを挟んだ餅を包むのに柏の葉が用いられたのは、新芽が出るまで古い葉が落ちないことから、家系が絶えないという縁起によるものだそうです。(ちなみに粽に使われているのは笹の葉)

江戸時代には端午の節句に家で作った柏餅を近所や親戚に配る風習があったといいます。

①版画「浮世年中行事 皐月」

これは江戸時代末の弘化元年(1844)頃の版画 「浮世年中行事 皐月(さつき)」、作者は三代目歌川豊国(うたがわとよくに)です。3枚続きになっており、端午の節句に柏餅を作る様子が描かれています。

 

それでは1枚ずつみていきましょう。

まずは右端の1枚。左奥の女性が、丸い餅を伸ばしているのがわかります。

続いて中央の1枚。こちらでは奥の女性が伸ばした餅にあんを挟んでいます。左下の桶に入っているのは柏の葉だと思われます。

そして左端の1枚。ここでは柏餅を蒸しています。手前の桶に入っているのは菖蒲(しょうぶ)です。

このようにして家庭でもたくさんの柏餅が作られていたようです。

 

3. 名物としての柏餅 

②版画 「白須賀」二川へ二里半

変わってご紹介するのは、文化元年(1804)の版画「白須賀(しらすか)」です。作者は「富嶽(ふがく)三十六景」でも有名な、葛飾北斎(かつしかほくさい)です。

東海道五十三次の内、白須賀(しらすか:静岡県湖西市)と二川(ふたがわ:愛知県豊橋市)の間の猿が馬場(さるがばば)の茶店では柏餅が名物として知られていました。今でもこの辺りが、柏餅の発祥の地とも言われているそうです。

 

さて、こうして見ていると、そろそろ柏餅が食べたくなってきたのではないでしょか。

この季節に店頭に並ぶ柏餅、ぜひ味わってみて下さい。

 

※前回の記事はこちら ↓

> お菓子な博物館 第3回 ~ポスター キャラメルと景品 編~

 

<今回の展示品>

①版画 「浮世年中行事 皐月」 /三代目歌川豊国 弘化元年(1844)  約34.5 cm × 73 cm

②版画 「白須賀」二川へ二里半/葛飾北斎  文化元年(1804)  約13 cm × 17.5 cm

所蔵:株式会社山星屋

 

 

 

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