2021.08.30
お菓子な博物館 第20回 ~ 昭和中期のパッケージ<チョコレート> ~編
目次
残暑は厳しいですが、少しずつ秋の気配も感じられるようになってきましたね。
秋になると食べたくなるのがチョコレート。新商品が発売される季節でもあります。
そこはもちろん、「お菓子な博物館」ですので、ご紹介するのは、昭和中期のチョコレートのパッケージです。
今回、登場するチョコレートの一部。いろいろなパッケージがありますね。
ここでさらっとチョコレートの歴史の時間です。
日本にチョコレートが伝わったのは江戸時代。
明治時代には輸入したチョコレートの加工が始まります。日本で始めてカカオ豆からチョコレートを一貫製造したのは森永製菓で、大正7年(1918)のことでした。
当時のチョコレートは高級品でしたが、その後、多くのメーカーから製造・発売され、広まっていきます。
昭和20年代まではキャラメルが全盛でしたが、昭和30年代に入り、チョコレートが次々と発売され、チョコレートの売上がキャラメルを上回るほどになりました。
今回ご紹介するパッケージは、そんな時代に発売されたものです。
チョコレートの歴史を詳しく知りたい方はこちら
日本チョコレート・ココア協会HP:こちら
1. チョコレートといえば、この形~板チョコ
まずは、板チョコからどうぞ。
①
昭和30年代頃の森永製菓「ミルクチョコレート」です。
最初に発売されたのは、大正7年(1918)。パッケージデザインに古さを感じませんが、それもそのはず、実は昭和初期から現在までロゴはほぼ同じなのです。
参考までに現在のパッケージがこちら。
出典:森永製菓HP
こちらもおなじみの明治「ミルクチョコレート」。
大正15年(1926)発売のロングセラー商品ですが、これまで少しずつパッケージは変わっています。
②
これは昭和26年(1951)~33年(1958)年のパッケージです。
③
そしてこれが現在のパッケージ。2021年は発売95周年にあたります。
明治「ミルクチョコレート」の歴史を知りたい方はこちら
明治HP:こちら
④
明治「チョコレートブラック」 は苦さを生かしたブラックチョコレート。当初は黒いパッケージではなかったのが意外です。
昭和36年(1961)の発売ですので、こちらは60周年。
2. アーモンド入りチョコレート
今では当たり前、アーモンド入りのチョコレート。
現在はラグビーボールのような楕円形のものが多いですが、発売当時はこんな形でした。
⑤
江崎グリコ「アーモンドチョコレート」。昭和33年(1958)の発売当初のパッケージです。
板チョコが主流だった時代にアーモンド一粒が丸ごと入ったチョコレートとして画期的なものでした。
⑥
昭和34年(1959)発売の明治「JPチョコレート」 アーモンド
チョコレートの中にクリームやアーモンドを封入し、当時話題となりました。
JPとは技術導入したデンマークのプラント(工場設備)の頭文字なのだそう。
“厚い板チョコの中に本場カリフォルニヤのアーモンドが香り高い風味もそのままにおいしくつつまれています”との解説付き。
3. その他のチョコレート
⑦
シスコ製菓(現在の日清シスコ)の「スーパーチョコレート」
クリーム・ソフトキャラメル・アーモンド・パインアップル(おそらくペースト)の四色入りで、外側のチョコレートと合わせて“五つ色の味“のようです。
当時のCMソングが楽譜付きで載っています。
少し歌詞をご紹介すると
“ワンツースリーフォー ファイブカラーのオツな味 五つの味がとけあった シスコのスーパーチョコレート”といったもの。
⑧
(一部拡大)
不二家「チョコレートボール」
“最高級のキャラメルを純粋のチョコレートでカバーしたシャレタ味”とあります。
表からは見えないところにペコちゃんもいますね。
番外編になりますが、
ロッテ「ガーナミルクチョコレート」の大箱です。(サイズは約12×23×6㎝)
⑨
板チョコ20個入で、メーカーから卸や商店へ納品される時の箱です。
ガーナチョコレートは昭和39年(1964)、スイスの味をコンセプトに発売されました。
赤いパッケージにはカカオポッド(カカオの実)が大きく描かれています。
発売当時は1枚30円と50円の2種類あったようです。
さて、今回はここまで。
昭和30年代の板チョコ1枚(20g)の値段は20円だったそうです。(参考:2021年現在は50g)
今のように味や種類も豊富ではありませんが、食べ終わったチョコレートのパッケージを大切に保存された方がいるからこそ、こうして残っています。
冒頭でご覧いただいたこの写真。
それぞれのパッケージは保存しやすいようにすべて解体され、平らな状態でしたので、現物をカラーコピーし、復元したものです。すべて紹介できなかったのが残念。
チョコレートに続いてキャラメル編も近々登場予定です。お楽しみに。
※前回の記事はこちら
お菓子な博物館 第19回 ~ 夏にぴったり 冷たいおやつ<昭和> 編~
<今回の展示品>
① 包み紙「森永ミルクチョコレート」/森永製菓 昭和30年代
② 包み紙「明治ミルクチョコレート」/明治製菓(現:明治)昭和30年頃
③ 包み紙「明治ミルクチョコレート」/明治製菓 2021年
④ 包み紙「明治チョコレートブラック」/明治製菓 昭和30年代後半頃
⑤ 紙箱「グリコアーモンドチョコレート」/江崎グリコ 昭和33年頃
⑥ 紙箱「明治JPチョコレートアーモンド」/明治製菓 昭和30年代
⑦ 紙箱「シスコスーパーチョコレート」/シスコ製菓(現:日清シスコ)昭和30年代
⑧ 紙箱「チョコレートボール」/不二家 昭和30年代
⑨ 大箱「ガーナミルクチョコレート」¥30×20個入/ロッテ 昭和40年頃 約12×23×6㎝
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)