2022.08.21
お菓子な博物館 第29回 ~ レトロな菓子瓶 後編~
貴重なコレクションを皆様にご紹介する 「お菓子な博物館」へようこそ
目次
昭和時代には駄菓子屋店内に陳列用のガラス瓶が並び、様々なお菓子が売られていたようです。メーカー専用のものもあれば、招き猫型など、変わった形の瓶まで形も様々。
前編に続いて、昭和初期~中期頃のレトロなガラス瓶を集めました。
1. 飴・キャラメルの菓子瓶
後編では、お菓子名やメーカーの名前が入った専用のガラス瓶をご紹介します。まずは飴・キャラメルの菓子瓶から。
①
輪切りパイン型のキャンディーと言えば、「パインアメ」。
昭和26年(1951)の発売ですので、70年以上の歴史があります。
これは発売当時の社名、「業平製菓」(現:パイン)時代のもの。パインアメ発売間もない頃のガラス瓶です。
パインアメの歴史はこちら:パインHP
②
扇雀飴のガラス瓶。高さは約28cm。
昭和27年(1952)に、扇雀飴(歌舞伎役者 二代目中村扇雀に由来)を製造開始しています。
扇雀飴の歴史はこちら:扇雀飴本舗HP
③
“さくさくぱんだ”でお馴染のカバヤ食品は、かつてキャラメルを販売していました。
「カバヤお好みキャラメル」、1個1円で650粒入とあります。すごい量ですね‼
2. ビスケットの菓子瓶
④-1
明治製菓(現:明治)の「キングビスケット」のガラス瓶。高さが39cmもある大きなものです。
よく見ると、下部分に何やら絵が入っています。
④-2
どうやら当時のパッケージが描かれているようです。
カタカナ文字が右から左に書かれていることからも、かなり古いもののはずですが、その印刷技術に驚かされます。
⑤
大正9年(1920)に中央製菓から発売された「乳菓 カルケット」。
ガラス瓶には文字が彫りこまれています。(画像ではわかりやすいように文字を黒くしています。)
カルケットは「カルシウム入りビスケット」のことで、栄養食品でした。
現在はイトウ製菓から販売されています。
カルケットの歴史はこちら:イトウ製菓HP
⑥
今も人気が高い、江崎グリコのビスコ。昭和8年(1933)発売ですが、ガラス瓶で販売されていたこともあるようです。
描かれているのは、昭和26年(1951)から登場の二代目ビスコ坊や。
「総合栄養強化ビスケット」とあります。
⑦
最後におまけとして登場するのは、「前田 シャープサンドビスケット」の容器です。
プラスチック成形技術の発達により、昭和中期以降、ガラス容器から缶やプラスチックケースに変わっていきます。
この容器はふたと底部分は缶素材ですが、本体はプラスチック製です。
1袋20円。“すてきな味のニュールック”のキャッチフレーズがいいですね。
さて、今回はここまで。
前後編にわたり、さまざまな菓子瓶をご紹介してきました。
こうしてみると、プラスチックにはない、ガラス製ならではの味わいが感じられますね。
瓶にお菓子が入ると、更に違った魅力があったのではないでしょうか。
※前回(前編)の記事はこちら
<今回の展示品>
① ガラス製菓子瓶 「パインアメ」/業平製菓(現:パイン)昭和中期 高さ 約22cm
② ガラス製菓子瓶 「扇雀飴」/扇雀飴本舗 昭和中期 高さ 約28cm
③ ガラス製菓子瓶 「カバヤお好みキャラメル」/カバヤ食品 昭和中期 高さ 約22cm
④ ガラス製菓子瓶 「明治キングビスケット」 /明治製菓(現:明治)昭和初期頃 高さ 約39cm
⑤ ガラス製菓子瓶 「カルケット」 /昭和初期頃 高さ 約32cm 高さ 約29cm
⑥ ガラス製菓子瓶 「ビスコ」 /グリコ 昭和中期 高さ 約29cm
⑦ プラスチックス製菓子容器 「前田のシャープサンドビスケット」/前田製菓 昭和中期 高さ 約32cm
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)