2021.09.27
お菓子な博物館 第21回 ~ 10月14日は鉄道の日!! お菓子と鉄道~編
目次
10⽉14⽇は「鉄道の日」です。
そこで、今回は「鉄道の⽇」にちなみ、明治時代の引札から昭和のパッケージまで、お菓子と鉄道に関連するものをご紹介したいと思います。
それでは、出発進行~‼
出典:写真AC
1. 鉄道の日とは
日本で初めて鉄道が開通したのは、明治5年(1872)10月14日、新橋~横浜間でした。そのことから、大正11年(1922)に「鉄道記念日」として制定されました。
そして平成6年(1994)、国土交通省が鉄道の誕生と発展を記念し、10月14日を「鉄道の日」と定めました。
毎年、各鉄道会社でも記念切符の発売やイベントも開催されています。
参考:国土交通省HP
2. 引札(ひきふだ)から見る明治時代の鉄道
引札(ひきふだ)とは江戸後期~大正時代頃にみられた“ちらし広告”で、この「お菓子な博物館」にも何度か登場しています。
当時の文化が描かれていることが多く、その時代の特性もよく分かるのですが、当然、鉄道も取り上げられています。
⇒引札について知りたい⽅はこちら
>お菓⼦な博物館 第12回 〜丑年 ⽜の描かれた引札 前編〜
①
明治時代後半頃と思われる引札です。雪の中を走る蒸気機関車が描かれています。構図も格好いいですね。
②
明治29年(1896)9月発行の 『日本の進歩 高架鉄道』のタイトルがついた「御菓子製造所」の引札です。
何と‼ 高架を走る汽車。どうみても危険すぎるように思えますが、進歩を見据えた発想力に驚きです。
(汽車型のモノレールみたいですね。)
③
こちらは明治23年(1890)12月発行の引札です。「飲食物着色料 イスボート販売所」のもので、右側は明治24年(1891)の略歴(現在のカレンダーにあたるもの)です。
これのどこが鉄道に関連するのかといいますと、左側に掲載されているものにご注目。
『自神戸至新橋 汽車発時間一覧表』とあります。そう、神戸から新橋までの「時刻表」なのです。
明治7年(1874)に大阪~神戸間が開通。
そして明治22年(1889)年7月、新橋~神戸間が開通していますので、その翌年の時刻表となります。(約130年前)
③-2(時刻表部分拡大)
よく見ると、神戸発は1日4本あるようですが、新橋まで直通で運行されているのは一番下の欄にある、午後5:30発の1本のみ。終着駅の新橋到着は翌日の午後1:40となっていましたので、その移動時間は約20時間‼(遠い~)
この時刻表によると、神戸から大阪までは約1時間、京都までは2時間半かかったようです。
④
明治時代ではありませんが、汽車つながりでもう1点。おそらく昭和初期頃のブリキ製の汽車型の菓子容器です。(長さは約45cm)
付属品の線路もあり、動かすこともできる優れものです。(機関車がゼンマイ式になっています。)
④-2
容器はふた付きで、「菓子乃器」とあります。
“MADE IN JAPAN”の表記もあり、もしかしたら海外へ輸出されていたのかもしれませんね。
3. 鉄道とお菓子のパッケージ
ここからは昭和時代の鉄道に関するパッケージをご紹介します。
⑤
新幹線が大きく描かれた、森永製菓の「森永ひかり号バッグ」です。 ※まだ、のぞみ号はありません。
東海道新幹線の開業は昭和39年(1964)ですので、昭和40年代頃のものかと思われます。
お菓子の詰め合わせ用の紙製のバッグで、中は空ですが、肩からかける為の赤いテープもきれいに残っています。
おそらく駅の売店などで売られていたものでしょうか。
「おまけつき」とありますが、どんなおまけが入っていたのか気になりますね。
⑥
明治製菓(現:明治)の「明治ミルクチョコレート デラックス」です。
「祝 鉄道100年」と鉄道弘済会(当時、駅売店を営業)のシールが貼られていることから、100周年にあたる、昭和47年(1972)に、販売されていたものです。
⑦
こちらはロッテ「チョコレート ガーナミルク」と新幹線のコラボ。鉄道弘済会のオリジナルパッケージです。
「祝 新幹線岡山開業」記念として、昭和47年(1972)3月の開業時に駅売店で販売されたものと思われます。
(余談になりますが、駅売店の愛称がKiosk(キヨスク)と決まったのはこの翌年のことでした。)
それにしても、当時の0系新幹線はフォルムがかわいいですね。
さて、今回はここまで。
明治時代と昭和時代の鉄道の旅はいかがでしたでしょうか。
コロナ禍により、今は気軽に旅行という訳にはいきませんが、少しでも旅気分を味わっていただければうれしいです。
そして、次の旅のお供には、「お菓子」をお忘れなく‼
※前回の記事はこちら
>お菓子な博物館 第20回 ~ 昭和中期のパッケージ<チョコレート> ~編
<今回の展示品>
① 引札 粟飴翁飴菓子諸油商 衛生堂山本店/明治時代後期 約26×38cm
② 引札 (銘菓新製)御菓子製造所 胃病妙薬胃洗丸大販売所 柳林堂/明治29年発行 約26×38cm
③ 引札 飲食物着色料イスボート販売所 田原商会 「明治24年略暦」・「自神戸至新橋 汽車発時間一覧表」
/明治23年発行 約52×38cm
④ ブリキ製 汽車型菓子容器/昭和初期頃 長さ 約45cm×高さ8cm
⑤ 紙箱「森永 ひかり号バック」/森永製菓 昭和40年代頃 約13×20×4cm
⑥ 紙箱「明治 ミルクチョコレート デラックス」/明治製菓 昭和47年
⑦ 包装紙「ロッテ チョコレート ガーナミルク」 『祝 新幹線岡山開業』/ロッテ・鉄道弘済会 昭和47年
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)