2021.04.25

お菓子な博物館 第16回 ~お菓子の木型 後編~

更新日 : 2021年04月26日


目次

前回は日本のお菓子の木型(主に落雁の型)をご紹介しました。

もちろん、菓子木型は日本だけではありません。アジアでは韓国や、中国(よく知られるものに月餅があります)、インドネシア。

そしてヨーロッパ(クッキー)にもみられます。

出典:写真AC

後編ではそんな外国の木型をご紹介。それぞれの特色がありますので、ぜひご注目下さい。

1. 韓国の菓子木型

まずは、韓国ドラマや韓国アイドルが人気で、何かと話題になることが多い韓国。

歴史ものの韓国ドラマに登場することもある、韓国の伝統菓子 タシク(茶食)。これはタシクを作る為の木型、茶食板です。上が枠になります。(大きさは9×38cm)

タシク(茶食)とは穀物の粉やでんぷん、きな粉等にハチミツを混ぜて団子状にし、木型で抜いた菓子で、文様がついているのが特徴です。

 

こちらは持ち手がある木型です。

長さは(持ち手含む)約28cmです。

こんなお菓子(薬菓)が作られたのでしょうか。

出典:写真AC

韓国の伝統菓子について知りたい方はこちら

韓国農水産食品流通公社HP https://www.atcenter.or.jp/food/culture/page10.php

2. 中国の菓子木型

続いては、中国。並んでいるのは、お馴染みの月餅(げっぺい)の型です。

長さは約30cm、厚みは5cm程あります。

 

こちらも中国の菓子木型です。(左は約20cm・右は約25cm)

このタイプは、比較的軽い素材の木で作られています。蓮(はす)や魚の図柄がみられます。

3. インドネシアの菓子木型

変わって、こちらはインドネシアの木型。まるで工芸品のようです。

(一番右のもので、長さは約36cm。)

⑥-1

こちらの2点は、大変珍しい、非常に凝った作りのものです。

長さは上の人型が約38cm、下のワニ型が約34cm程です。

⑥-2

裏返すと、こんな感じです。

どちらも、型としての役目も果たせそうですが、そのまま飾っておきたいと思わせる素晴らしさです。

実際にどんなお菓子作られたのか、またはお供え用なのか、とっても気になります。

4. ヨーロッパの菓子木型

最後にご紹介するのは、ヨーロッパ。

下の2点はドイツの木型です。(大きさは縦30cm程)

ヨーロッパでは古くから、特にクリスマス用のクッキーに菓子木型が使われます。

ドイツでは「スペクラティウス」、ベルギーでは「スペキュロス」と呼ばれるスパイスのきいたクッキーは、キリスト教に関係するものや動物など様々なモチーフがみられます。

 

こちらはオランダの木型で、ドイツとよく似た「スペキュラース」と呼ばれるクッキーを作る為の型です。

長さも約40cmとかなり大きめです。

しかも、裏面にも同じ図柄が彫られており、両面使うことができます。(さすがに同時には使うのは難しそうですが。)

ひび割れも入っていますが、金属で補強され、大切に使われていたことがわかります。

 

さて、今回はここまで。

国によって目的・材質は少しずつ違いますが、菓子作りに木型を用いるという共通点があるのは面白いですね。 まさに木型は菓子文化を伝える貴重なアイテムなのです。

※日本の菓子木型を紹介した、前回の記事はこちら

お菓子な博物館 第15回 ~お菓子の木型 前編~

 

<今回の展示品>

①菓子木型 / 韓国 / 茶食板(枠付・二枚合・差し込み式) 約9×37cm

②菓子木型 / 韓国 / (把手付)約5×27×3.5cm

③菓子木型 / 中国 / 月餅型(把手付)4点  左端が約32×9×4.5cm

④菓子木型 / 中国 / (把手付)双喜紋・魚・蓮など7点  左上が約21×8×2cm

⑤菓子木型 / インドネシア / (把手付)4点 左端が約34×8.5×2.5cm

⑥菓子木型 / インドネシア / (人型)約7.5×37.5×2.5cm(ワニ型)約6×34×3.5cm

⑦菓子木型 / ドイツ / クッキー型「馬上の王」約30×25×2cm 「馬、牛、羊」 約35×23×2cm

⑧菓子木型 / オランダ クッキー型「女性」<両面>約40×17×3cm

 

所蔵:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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