2020.09.23
お菓子な博物館 第9回 ~昭和初期版 全国お菓子で旅巡り 後編~
目次
前回に引き続き、昭和初期の全国各地のお土産品コレクション「名物票」から当時の名物菓子をご紹介。後編は西日本です。
※前回の記事(前編・東日本)はこちら⇩
> お菓子な博物館 第8回 ~昭和初期版 全国お菓子で旅巡り 前編~
1. 京都篇
それでは、京都からスタート。
①
京都の「五色豆」(五色の砂糖掛豆)。白木屋は当時の代表的百貨店で京都にも分店がありました。
②
「そばぼうろ」に「八ツ橋」。京都のお土産はロングセラー商品が多いですね。
2. 奈良・和歌山・三重篇
③
奈良・東大寺の「大仏餅」。右は大仏殿の柱穴くぐりを描いています。くぐったことある方、いませんか。
左下は春日大社境内の「火打焼」。
④
和歌山県は高野山。弘法大師にあやかった「弘法糖」「大師飴」も。
⑤
三重県はやはり伊勢名物の「赤福」。“このあんころ餅は三四日は味も変わらず、堅くもなりません”の説明付きです。
お菓子ではありませんが、「すがた焼」も気になります。
3. 摂河泉篇
摂河泉(せっかせん)とは、摂津(せっつ)・河内(かわち)・和泉(いずみ)の三カ国の総称で、現在の大阪府と兵庫県の一部を含む地域です。
⑥
宝塚(兵庫県)は摂津国。大正3年(1914)に初めて上演された、宝塚少女歌劇(現在の宝塚歌劇)が有名です。
「少女歌劇だんご」に「宝塚少女歌劇煎餅」が観劇のお土産だったようです。
⑦
堺(大阪府)の「大寺餅」(おおてらもち)は通称「大寺さん」と呼ばれる開口神社の名物。右の一力楼は当時大浜公園にあった料亭です。
4. 山陽道篇
⑧
姫路(兵庫県)名産は今では世界文化遺産となった姫路城~別名、白鷺(しらさぎ)城~が描かれた、「白鷺せんべい」の他に、「火打焼」「甘納豆」も。
⑨
岡山は桃太郎の「吉備団子」に「水蜜桃羊羹」と桃尽くし。
⑩
宮島(広島県)はしゃくし型の「しゃくし煎餅」、「宮島羊羹」。
さて、本州の旅はここまで。四国へと渡ります。
5. 四国篇
⑪
鳴門の渦潮(なるとのうずしお)で有名な阿波(徳島県)の「わかめ羊羹」、「鳴門だんご」
⑫
愛媛県、道後温泉の「坊っちゃん団子」、「湯けた飴」。由来のしおりも付いています。
⑬
最後は、長崎の「阿蘭陀(オランダ)伝方 加寿天以羅(カステイラ)」。江戸末頃のオランダ船が描かれたものです。
実はこれだけが他と比べてサイズが大きい為、見開きを縦に使って貼ってあります。(中央に折り目があります。)
まだまだ、ご紹介しきれなかった名物菓子はあるのですが、残念ながら旅は終了。こうしてみると、当時のお土産は、羊羹・煎餅・団子・餅・飴が多かったようですね。
昭和初期版の全国お菓子で旅巡り、楽しんでいただけましたでしょうか。
※前回の記事(前編・東日本)はこちら⇩
> お菓子な博物館 第8回 ~昭和初期版 全国お菓子で旅巡り 前編~
<今回の展示品>
「名物票」全8冊/昭和初期 21×17cm
① 「京都篇」より 「五色豆」「新小豆」「夷川製 五色豆」
② 「京都篇」より 「そばぼうる」「鱗餅」「彦九郎飴」「八ッ橋」
③ 「奈良・和歌山・三重篇」より 「大佛餅」「火打焼」
④ 「奈良・和歌山・三重篇」より 「弘法糖」「いろは煎餅」「大師飴」「まん頭」
⑤ 「奈良・和歌山・三重篇」より 「五十鈴飴」「すがた焼」「赤福」
⑥ 「摂河泉篇」より 「少女歌劇だんご」「寳塚少女歌劇煎餅」「生姜糖」
⑦ 「摂河泉篇」より 「一力楼」「大寺餅」
⑧ 「山陽道篇」より 「火打焼」「甘納豆」「白鷺せんべい」
⑨ 「山陽道篇」より 「ポケットキビダンゴ」「桃太郎サン」「水蜜桃羊羹」
⑩ 「山陽道篇」より 「宮じまようかん」「御鳥」「しゃくし煎餅」
⑪ 「四国篇」より 「和布羊羹」「わかめ羊羹」「鳴門だんご」
⑫ 「四国篇」より 「坊ちゃん団子」「湯けた飴」
⑬ 「樺太・朝鮮・琉球・九州・東京」より 「加寿天以羅」
所蔵:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)