2021.05.25

お菓子な博物館 第17回 ~6月1日はチューインガムの日 昭和のレトロなガム達 編~


目次

出典:写真AC

6月1日はチューインガムの日です。

日本記念日協会によると

平安時代より、元日と6月1日は「歯固めの日」として、かたい餅などを食べて健康増進を図る風習があったことから日本チューインガム協会が制定。チューインガムを通じて、かむことの大切さを考えてもらうのが目的。

なのだそうです。

そこで、今回はチューインガムの日にちなみ、ちょっとレトロなガムの包み紙などをご紹介したいと思います。

 

1.チューインガムの歴史

日本にチューインガムが入ってきたのは、大正時代。昭和初期には国産ガムも作られたようですが、当時の日本人の食習慣には合わず、あまり普及しなかったようです。

サンデーチウインガムポスター
昭和初期の純国産「サンデーチウインガム」のポスター(2種類)です。

右のポスターでは“人生の快楽は健康にあり”と、当時は健康をアピールしていたことがわかります。

 


こちらは昭和初期の山田製菓所の「チウインガム」大箱です。(約13×30cm)

「一個一銭」のガムは、この箱に詰められて菓子店などへ納品されていました。

“ヨクフクレル”とあるので、風船ガムだったようですが、絵をよく見ると、男の子は風船ガムを掲げ、女の子はガムを口から長く伸ばしています。当時は格好よかったのでしょうか。

 

チューインガムは戦後、新しいファッションとして急速に浸透しましたが、当初はほとんどが子ども向けの風船ガムでした。

昭和26年(1951)にハリスが、昭和29年(1954)にロッテが板ガムを発売し、徐々に大人にもガムが広まりました。

 


昭和30年(1955)頃のハリスチゥインガムのポスターです。描かれているのは、社名のハリスから連想したリスのキャラクター「ハリス坊や」。

ハリスは後にカネボウ(現在のクラシエフーズ)に合併されています。

(ハリスの関連会社だったのが「フエラムネ」でおなじみコリスなのだとか。)

 

チューインガムの歴史など、詳しくはこちら
日本チューインガム協会HP https://chewing-gum.jp/

 

2.昭和中期のチューインガムいろいろ

ここからは、昭和30年代頃の包み紙をご紹介していきます。


昭和32年(1957)に発売された、ロッテ「グリーンガム」。昭和35年(1960)にはペンギンでお馴染みのクールミントガムが発売されました。発売当時は6枚入で20円。

 


ちなみに、こちらは平成5年(1993)に大幅リニューアルされる直前の、昭和世代には懐かしいパッケージ。

昭和45年(1970)から平成5年までは7枚入で、現在(9枚入)ほどの厚みがないのが特徴です。

そんなロングセラー商品ですが、今年(2021年)4月、新パッケージになったことも話題となっています。

 

グリーンガムの歴史はこちら
https://www.lotte.co.jp/products/brand/greengum/history/

出典:ロッテHP グリーンガムの歴史

 


その他にも、「ジューシィフレッシュガム」、「ピンクミントガム」。

レトロな感じがいいですね。

 

昭和30年代頃は多くのメーカーから、様々なガムが発売されていました。


明治の「pep!」(ペパーミントガム)、「スペアミントガム」。

 


森永製菓の「ディズニーガム」、「コーヒーチューインガム」。

 


江崎グリコの「ジューシィガム」、「バナナサンデーガム」。

 


不二家の「シャーベット・ピーチガム」。

 


ハリスの「フーセンハリス」、カネボウの「ハリスの旋風(かぜ)フーセンガム」。

『ハリスの旋風』」は昭和41年(1966)から翌年にかけて放映されたTVアニメです。

 


最後にご紹介するのはこちら、オリオンの「ローハイドガム」です。何と、中身もすべて入ったまま、今でも箱ごと残っています。

1個5円。このような形で、当時の駄菓子屋で売られていたのでしょうね。

『ローハイド』はアメリカの西部劇ドラマで、日本でも昭和34年(1959)から40年(1965)まで放映されました。

ということは、約60年前‼(中のガムがどうなっているのか心配です。)

 

さて、今回はここまで。

様々な昭和のチューインガムをご紹介しましたが、パッケージのデザインを見ているだけでも楽しいですね。

近年はこういった板ガムも減少しているようですが、たまにはガムでリフレッシュもいかがですか。

 

※前回の記事はこちら

お菓子な博物館 第16回 ~お菓子の木型 後編~

 

<今回の展示品>  

① ポスター「純国産 サンデーチウインガム」2種類(紺色・黄色)/山崎製菓研究所 昭和初期 約55×19cm

② 紙箱「日本一 山田のチウインガム」/山田製菓所 昭和初期 約16×30×3cm

③ ポスター「ハリスチゥインガム」/ハリス 昭和30年頃 約51×36cm

④ 包み紙「「グリーンガム」「クールミントガム」/ロッテ 昭和30年代

⑤ 現物「グリーンガム」「クールミントガム」(中身入り)/ロッテ 平成5年(1993)

⑥ 包み紙「ジューシィフレッシュガム」、「ピンクミントガム」/ロッテ 昭和30年代

⑦ 包み紙「pep!」、「スペアミントガム」/明治(当時は明治製菓)昭和30年代

⑧ 包み紙「ディズニーガム」、「コーヒーチューインガム」/森永製菓 昭和30年代

⑨ 包み紙「ジューシィガム」、「バナナサンデーガム」/江崎グリコ 昭和30年代

⑩ 包み紙「シャーベット・ピーチガム」/不二家 昭和30年代

⑪ 包み紙「フーセンハリス」/ハリス 昭和30年代、「ハリスの旋風(かぜ)フーセンガム」/カネボウ 昭和41年

⑫ 現物「ローハイドガム」(箱入り)/オリオン 昭和30年代後半頃

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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