2024.10.04
お菓子な博物館 第36回 ~ 外国のお菓子 フランス編 ~
貴重なコレクションを皆様にご紹介する 「お菓子な博物館」へようこそ
目次
2024年の夏はパリオリンピックで盛り上がったフランス。遅ればせながら、今回はフランスに関連するお菓子を取り上げます。
何となくお洒落なイメージが強いのですが、どんな広告やパッケージが登場するのでしょうか。
出典:写真AC
1. フランスのお菓子メーカー LU
最初にご紹介するのは、1846年創業、LUの略称で知られる、フランス発祥のビスケットのブランド Lefèvre Utile(ルフェーヴル=ユティル)社の古いポスターです。
①
1886年に発売された「プチ・ブール」という、端がギザギザになっているのが特徴のビスケットです。
ビスケットを食べる男の子と言えば、ついつい、グリコのビスコ坊やを思い浮かべてしまう筆者です。(どちらも可愛い)
②
こちらのポスターはショーウインドウに並ぶお菓子をまさに食い入るようにのぞきこむ子どもたち。
美味しそうなビスケットだけではなく、さまざまな菓子缶も並んでいて、目移りしますね。
③
そして、②のポスターの右下に描かれている、トランク型のブリキ缶(色違い)がこちらです。
かの有名ブランド風のトランクになっています。まさか中にビスケットが入っているとは思えないですよね。
②と③はともに1900年頃の貴重なものです。
2. フランスの菓子店の広告
フランスには他にも魅力的な菓子店の広告があります‼
④
こちらは「VIÉVILLE」のビスケット販売店のブリキ看板です。(大きさは約30×40cm)
VIÉVILLE(ヴィエヴィル)とはフランス北東部にあるコミューン(地方自治体の最小単位)の名前にあるようです。
作られた年代は分かりませんが、天使も登場していますね。
続いてご紹介するのはこちら。
⑤
「Chocolats Fins Le Rhone」とあり、高級チョコレートを扱う店の紙製のPOP広告です。
楕円型で上部に紐を通すようになっていることから、吊り下げ型のようです。(高さは約42cmあります。)
左側にあるのは温度計で、きちんと気温も測ることができます。
男の子が何を持っているのかが気になりますね。(チョコレートをいれるためのカップでしょうか?)
番外編として、日本でフランスにちなんだお菓子をご紹介します。
その名もズバリ、「フランスキャラメル」
不二家から昭和9年(1934)に発売されたキャラメルで、これは昭和中期頃のパッケージです。
昭和9年というと、フランスはもちろん海外には簡単に行けない時代ですから、当時はあこがれもあったのでしょうね。
さて、今回はここまで。
フランスのお菓子と言えば、今ではマカロン • カヌレ • マドレーヌなどの焼菓子が思い浮かびますが、こういった広告やパッケージを通じて、時代を超えて愛されるフランスのお菓子の魅力が伝わってきますね。
少しでも、フランスに行ったような気分を味わっていただけたでしょうか。
以前、イギリスのお菓子の缶について紹介した回はこちら
お菓子な博物館 第10回 ~イギリス発‼アンティークな菓子缶 編~
※前回の記事はこちら
お菓子な博物館 第35回 ~ 辰年 龍が描かれた引札 編 ~
<今回の展示品>
① ポスター 「BISCUITS 」 Lefèvre Utile/フランス 1900年頃 約46×31cm
② ポスター Lefèvre Utile/フランス 1900年頃 約52×68cm
③ 菓子缶 「Coffre a biscuits」 Lefèvre Utile/フランス 1900年頃 約13×21×13cm
④ ブリキ製看板「LE BISCUIT VIÉVILLE SEVEND IGI」/フランス 約30×40cm
⑤ 温度計付き 紙製POP広告「Chocolats Fins Le Rhone」/フランス 約42×29cm
⑥ 紙箱 「フランスキャラメル」 不二家 /昭和中期
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)