2019.11.11
『日本三大まんじゅう』とは?歴史や味を徹底調査!
更新日 : 2022年11月07日

目次
1、はじめに
出典:写真AC
みなさん、和菓子といったら何を思い浮かべますか??
筆者は「おまんじゅう」を思い浮かべます。
ちょっと渋めの熱い緑茶を啜りながらあま~いあんこの入ったまんじゅうをパクリ。
何ともホッと一息できる幸せなひと時です♪
そんな日本の代表的な和菓子のひとつ「まんじゅう」 その中で【日本三大まんじゅう】と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか?
数えきれないほど多くあるおまんじゅうの中で【日本三大まんじゅう】とは何なのか気になりますよね!
そこで、今回は【日本三大まんじゅう】についてご紹介させていただきます。
2、まんじゅうとは
日本三大まんじゅうをご紹介する前に、まずそもそも“まんじゅう“とは?ということについて少しお話させていただきたいと思います。
皆さんが「まんじゅう」と聞いて思い浮かべるのはどのようなものでしょうか?
まんじゅうのルーツ
まんじゅうのルーツは中国。
三世紀、三国志でおなじみの諸葛孔明(しょかつこうめい)が軍隊を率いて凱旋の途中、川が氾濫。
荒れ狂う川を鎮めるための捧げものとして発明したもの「蛮頭(マントウ)」が始まりといわれています。
当時は、中に羊と豚の肉を入れて蒸した肉饅頭でした。
日本のまんじゅう文化の歴史
中国の「蛮頭(マントウ)」が日本に伝わったのは室町時代。
中国の林浄因(りんじょういん)が、日本に渡来。
肉食が許されない僧侶のために、肉の代わりに小豆を煮つめ、甘葛の甘味と塩味を加えて餡を作りこれを皮に包んで蒸し上げた小豆の饅頭を考案。
これが日本のまんじゅう文化の始まりとなりました。
林浄因(りんじょういん)は、貞和5年(1349年)奈良で創業。
皮の柔らかさ、小豆餡のほのかな甘みが、精進料理を食す禅僧や僧侶寺院に集う上流階級の人々に大好評!
江戸時代になると、饅頭好きの将軍や大名も多くあらわれ、そのおいしさは庶民へも広がりを見せていきました。
そして、全国各地で葛饅頭などの「蒸し饅頭」や名物饅頭が誕生。明治から昭和にかけては、もみじ饅頭や栗饅頭などの「焼き饅頭」が生まれ、現在はバターやミルクなどの材料を使った「洋風饅頭」など様々な種類のまんじゅうが続々と登場しています。
3、日本三大まんじゅうとは
では本題です。古い歴史の中で数多くの種類がある「まんじゅう」。
その中で、【日本三大まんじゅう】と言われるものは何なのでしょうか?
正解はこちら!
写真左から…
■柏屋「薄皮饅頭」(福島)
■大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」(岡山)
■塩瀬総本家「志ほせ饅頭」(東京)
です。いかがでしょう?
みなさんの予想は当たっていたでしょうか?
では、なぜこの3つが【日本三大まんじゅう】と言われるようになったのでしょうか?
それは、日本のさまざまな三大を記載した本「日本三大ブック」に掲載されたことが発端。
以降、さまざまなな“三大”を記載した本にも掲載されています。
そして、なんと2016年・2017年には三社が一堂に会し“日本三大まんじゅうサミット”も開催。
日本のまんじゅう文化を未来へ継承し、日本が誇る文化のひとつとして、世界に認められることを目指して取り組みを行われています。
<日本三大ブック>
第十章 食べ物三大 日本三大名物饅頭
薄皮饅頭、大手まんぢゅう、志ほせ饅頭
日本中に饅頭の種類はどれくらいあるのか。一説によればその名の通り、万と十ほどもあるという。それほど人々に親しまれてきた菓子ということだろう。
その万を超える中でも、味、姿、風格と、三拍子揃った日本を代表する三大名物饅頭がこれ。
薄皮饅頭(福島県)
嘉永5年(1852)に創業の福島県郡山市の「柏屋」。この店で代々作られてきたのが、一度食べたら忘れられない味と評判の薄皮饅頭である。
黒砂糖風味の薄皮とこしあんのマッチングが絶妙で、舌の上にのせた時、その甘さが口全体に広がる。それでいて甘ったるさがいつまでも残らない。どんな時代でも長続きする、あきない饅頭の代表格といえよう。
大手まんぢゅう(岡山県)
天保8年(1837)創業の岡山県岡山市の「大手饅頭伊部(いんべ)屋」では、150年以上にわたり、薄い皮にぶどう色のあんが透けて見える大手まんぢゅうを作り続けている。
創業当時の備前藩主・池田公に好まれ、茶会の席では伊部焼(備前焼)とともに愛用されたという。名前の由来は、当時の店舗が岡山城の大手門前にあったため。
志ほせ饅頭(東京都)
中国・浙江省出身で、興国2年(1341)に来朝した林浄因を始祖とする老舗中の老舗「塩瀬総本家」。
この店で作られる志ほせ饅頭は、大和芋と上新粉を合わせて練り上げた皮と、ほのかな甘みの小豆のあんからできている。上品な甘さと柔らかい舌ざわりが絶品。
表面に刻印された「志ほせ」の文字が、この饅頭の歴史の深さを感じさせる。
1993年3月 第1刷発行 加瀬清志/畑田国男 著 株式会社講談社 『日本三大ブック』より引用
それでは、3大まんじゅうを20~40代の友人と一緒に実際に食べた感想を含め、ひとつひとつご紹介していきたいと思います。
塩瀬総本家「志ほせ饅頭」(東京)
<歴史>
塩瀬総本家の歴史の始まりは660年ほど前。
先ほど、日本のまんじゅう文化の歴史で述べた林浄因(りんじょういん)が貞和5年(1349年)奈良で創業した饅頭屋さんです!
室町時代8代将軍・足利義政より「日本第一番本饅頭所林氏塩瀬」の看板を贈られ、後土御門天皇からは「五七の桐」の御紋を拝領。
以降、様々な武将にも愛好され、明治初年からは宮内省御用を勤められています。
<製法・味>
出典:塩瀬総本家HP_製造工程
すりおろした大和芋に上新粉と砂糖を加え練り上げられた秘伝の皮で、北海道の十勝(音更町)産の小豆で作られた上品な甘さの餡が包まれた薯蕷(じょうよ)饅頭です。
熟練した職人により造り出される手作り味わい深い老舗の饅頭です。
<実食感想など>
・大和芋のねっとりとした皮の食感が特徴。あんも皮に負けないようにほどよい主張のある甘さがある。
・外側の薄皮とのバランスがいい。あんこが濃い。
・餡のぎっしり感がすごい。 真っ白でかわいらしい外見がお上品。
・周りの皮といい餡といい食べ応えがある。
柏屋「薄皮饅頭」(福島)
<歴史>
創業は嘉永5年(1852年)初代本名善兵衛氏が「病に薬がいるように、健やかな者に心のなごみがいる」との思いから、奥州街道郡山宿の薄皮茶屋にて、餡がたっぷりで、皮の薄い饅頭を考案したのが始まり。
温泉まんじゅうの元祖とも言われています。
<製法・味>
出典:柏屋HP
厳選された小豆の自家製餡とその餡を存分に味わえる絶妙な黄金比の薄皮に包まれたお饅頭。
創業以来愛され続ける、上品でなめらか、口どけのよさとさらっとした甘味が身上の「こしあん」・昭和61年に生まれた甘さ控えめで小豆本来の素朴な風味と、ふっくらとした粒の食感が楽しめる「つぶあん」の2種類のまんじゅうがあります。
<実食感想など>
■こしあん
出典:柏屋HP
・柔らかな皮と滑らかな餡がとてもおいしい。
・お饅頭の概念はまさにこれ! しっとりした皮と餡子のバランスがいい。
・破れてないのが奇跡なくらい皮が薄い! 黒糖系の皮のまんじゅうはあまり好きじゃないけど、この大きさ、この薄さなら食べられる。
・こしあんのキメが細かくしっとり溶ける、後から感じるうす皮の香ばしさとマッチして美味しい。
■つぶあん
出典:柏屋HP
・皮がしっとり柔らかく食べやすい。あんこの味がこしあんよりもしっかりしている。(逆に皮の風味が感じにくい。) あんこ派はこっちがおすすめ。
・つぶあんは香ばしい?香りが漂い、粒あん独特の食感が楽しめる。
・小さいサイズでも粒あんの存在感があって、あずきの味がしっかり楽しめる。
・薄皮の粒あんまんじゅうというのはあんまりない気がした。小豆がふっくらしてて美味しい。つぶあん派。
・一番ウマイ!どら焼きやたい焼きみたいに親しみやすい味。 中流階級から、がんばって三大まんじゅうに上り詰めたっていう苦労人みたいな感じ。
⇒今回実食・感想をいただいた人たちの中では、薄皮まんじゅうがお饅頭といえばこれ!という感じで、一番好みという人が多かったです。さすが元祖温泉まんじゅう。より親しみ感があるようですね。
大手饅頭伊部屋「大手まんぢゅう」(岡山)
<歴史>
天保八(1837)年、弊店の初代伊部屋永吉が、いまの営業地京橋町で創業 当時の備前藩主池田侯から特に寵愛を受け御茶会の席には必ず伊部焼の茶器とともに愛用されてきました。
<製法・味>
出典:大手饅頭伊部屋HP
米処・備前岡山の良質の備前米を材料として、糀(こうじ)からじっくり作った甘酒に小麦粉を混合した生地。
その生地で北海道産小豆を特製の白双糖で練り上げたこしあんを、薄く包み、蒸上げたおまんじゅう。
昔からの酒饅頭の基本製法で作られ、甘酒のコクが餡の甘さとほどよく調和したまろやかな味わいが特徴です。
<実食感想など>
・見た目によらず、さっぱりと食べられて美味しい
・さらっとした口当たり。 こしあんがとってもなめらかで、爽やか。 あんこの和菓子は甘ったるさが少し苦手だったのですが、これならおいしく食べられます!
・しっとりと少し粘性がある餡が美味しい。後味に甘酒の風味があって餡との相性良い。
・あんこ主体だが甘さが抑えてあり、しつこくなく、お茶などの飲み物も必要ない。
・皮はほぼ無いので餡の塊を食べている感覚。ただ、あっさりとした甘味になっているため、食べた時の重さは感じない。
・甘さ控えめで、一般的なまんじゅう特有のモサモサ感がなく食べやすい。
⇒今回実食・感想をいただいた人たちの中では、見た目に驚く人が多かったです。見た目は皮をあまり感じず、あんこ玉!?というイメージを持つ人もいました。また、見た目で重そう…と感じていた人も食べると上品な甘さで、いくつでも食べられそうという方もいました!
ちなみに、岡山出身の友人によると、大手まんぢゅうといえば、法事などでもよく利用されとても馴染み深い和菓子とのことです。
そして、一風変わった食べ方が中に入っていた案内文に掲載されていたので、そちらの食べ方も体験してみました!
☆即席汁粉
作り方:焼いた大手まんぢゅう2個をお椀にとり、少量の塩を入れ熱湯を注ぐだけ
餡がなめらかなので、思った以上にすぐにお湯に溶けていきました。
一方、皮は残るので、もっちりとした食感も楽しめます!
そのまま食べるより、甘酒の風味が増し、一層体が温まる気がしました。
心も体も温まる冬場にピッタリな食べ方でした!
その他、大手饅頭伊部屋のホームページには面白い食べ方の提案がたくさん載っていましたので、そちらもぜひチェックしてみてください^^
さまざまな食べ方も楽しめる大手まんぢゅうですが、2019年10月からは「大手まんぢゅう専用焙煎珈琲」が発売されています!
豆から吟味し、苦みとあんの甘さが口の中で調和することで、互いのよさを引き立てあい完成する味わいになっているとのこと。 気になりますね。
饅頭=和菓子=お茶と一緒に楽しむもの!と考えがちですが、苦味のあるコーヒーに甘いおまんじゅうというのも相性が良さそうですよね。
実は、和菓子とコーヒーとの相性は良いという情報もあります。
こちらの大手まんぢゅう×専用焙煎珈琲だけにこだわらずとも、お饅頭×コーヒーの組み合わせもぜひ試してみてください。
4、さいごに
日本三大まんじゅうをご紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
日本三大まんじゅう、どれも個性がありとても美味しかったですよ!
歴史ある伝統的な和菓子、日本三大まんじゅう、ぜひみなさんも一度召し上がってみてはいかがでしょうか。
<参考>
塩瀬総本家HP:https://www.shiose.co.jp/
柏屋HP:https://www.usukawa.co.jp/
大手饅頭伊部屋HP:https://www.ohtemanjyu.co.jp/index.html
kaori
3人の男の子を育てるパワフルなワーママ。こどもの好きなお菓子や新商品・季節に合わせたお菓子情報などをお届けします。好きなお菓子はおせんべい。特に固焼きの醤油せんべい大好きです。