2021.11.02

お菓子な博物館 第22回 ~ 昭和中期のパッケージ<キャラメル> 前編~


目次

 

すっかり秋も深まりましたね。やっぱり、食欲の秋 食べ物がおいしい季節です。

さて、第20回でご紹介した「チョコレート」に引き続き、今回は「お菓子な博物館」的、昭和中期の「キャラメル」のパッケージです。

たくさんご紹介したいので、前後編の2回に分けてお送りします。

 

 

1. ミルクキャラメルの登場

森永ミルクキャラメル

キャラメルといえば、この「森永ミルクキャラメル」が思い浮かぶ方も多いと思いますが、日本のキャラメルの歴史もここから始まっています。

森永製菓の創業者、森永太一郎が「森永西洋菓子製造所」を設立したのが明治32年(1899)、大正2年(1913)に初めて「ミルクキャラメル」が発売されます。当時はバラ売りでしたが、大正3年(1914)、紙サック入りの現在の形のミルクキャラメルが発売されました。

既に100年以上の歴史があるのですね。

 

森永ミルクキャラメルの歴史を詳しく知りたい方はこちら:森永製菓HP

 

 

森永ミルクキャラメル ①

発売当初から現在まで、ほぼ変わらない森永ミルクキャラメルのパッケージですが、これはちょっと珍しい、一重容器(“ひとへさっく”とふりがながあります。)で、中箱が無いタイプです。(昭和中期のもの)

ただ、「真中を開けるとばらばらこぼれます。召上る時は上の口をお開け下さい。」の注意書きがついている位ですので、キャラメルをこぼしてしまう子も多かったのではないでしょうか。

 

森永ディズニーキャラメル ②

こちらは森永「ディズニーキャラメル」。

昭和35年(1960)以降、キャラメル以外にも、ガムやチョコレートにディズニーキャラクターが登場しました。

 

森永チューレット ③

キャラメルとは少し違うのですが、昭和31年(1956)発売の「森永チューレット」をご紹介します

“食べられるチューインガム”とありますが、実はあの「ハイチュウ」の前身といえるチューイングソフトキャンディーです。

昭和50年(1975)にリニューアルし、「ハイチュウ」として発売されました。

 

 

 

2. 一粒300メートル‼グリコ

グリコ

江崎グリコの創業者 江崎利一が、カキの煮汁に含まれるグリコーゲンを確認したことがきっかけで誕生した「グリコ」。

こちらも歴史は古く、大正11年(1922)に本格的に販売開始されています。

おなじみのランナーこと、ゴールインマークでおよその年代がわかるのですが、このマークは昭和20年~28年頃のもの。

さすがは“美味栄養菓子“、「子供の発育を盛にし、大人の元気を増進する菓子」とあります。

“一粒300メートル”も有名ですが、実際に一粒で300メートル走ることのできるエネルギーが含まれているそうです。

 

グリコのキャラメルについて知りたい方はこちら:江崎グリコHP

 

 

アーモンドグリコ

昭和30年(1955)発売の 「1つぶで2度おいしい」アーモンドグリコ。

箱に「召上り方」が書いてありますので、ご紹介すると

“・かまずに口に含んでると、はじめは牛乳のエキス ホエー のおいしい風味が出てきます。

・半分とけてから中に小粒で入ってる世界最高級のカリフォルニヤ産アーモンドの果実をかむと、こんどはこうばしい香りが口いっぱいに広がります。”とのこと。確かに「1つぶで2度おいしい」訳ですね。

 

 

 

3. クリームキャラメル・サイコロキャラメル

 

明治クリームキャラメル ⑥

明治製菓(現:明治)が昭和9年(1934)から発売していた、「明治クリームキャラメル」。

赤いパッケージに白いキャラメルが特徴的でした。

 

 

明治サイコロキャラメル

そして、忘れてはいけない 明治「サイコロキャラメル」。赤と白のサイコロが5個でセットになっていましたね。

見えないところに昭和中期の商品名が入っているのも気になります。(カルミン‼)

平成28年(2016)に生産が終了した際にはニュースにもなりました。

現在は、明治の関連会社から北海道限定で販売されています。(クリームキャラメルもありますよ。)

 

 

明治チョコレートキャラメルデラックス ⑧-1

明治「チョコレートキャラメルデラックス」。

当時発売されていた「ミルクチョコレートデラックス」と同様のストライプのパッケージ。

 

明治チョコレートキャラメルデラックス中箱⑧-2

上のキャラメルの中箱です。

当時20円の明治キャラメルの外箱またはチョコレートのレーベル20枚を送ると『明治学習百科アルバム』がもらえるというキャンペーンがありました。引き換え期限は昭和33年末になっています。

 

 

森永ミルクキャラメル中箱

ちなみに森永ミルクキャラメルも中箱を利用した工作などがありました。

外箱だけでなく、中箱にも様々な工夫があって、面白いですね。

 

 

 

さて、今回はここまで。

昭和のパッケージデザインはこうして見ているだけでも楽しいですよね。

(森永ミルクキャラメルとグリコは大正時代からというのが驚きですが)

まだまだいろんなキャラメルをご紹介したいので、後編に続きます。お楽しみに。

 

 

※前回の記事はこちら

>お菓子な博物館 第21回 ~ 10月14日は鉄道の日!! お菓子と鉄道~編

 

 

<今回の展示品>

① 外箱「森永ミルクキャラメル」一重容器/森永製菓 昭和中期

② 外箱「森永ディズニーキャラメル」/森永製菓 昭和30年代後半

③ 外箱「森永チューレット」/森永製菓 昭和30年代

④ 外箱「グリコ」/江崎グリコ 昭和20年代

⑤ 外箱「アーモンドグリコ」/江崎グリコ 昭和30年代前半

⑥ 外箱「明治クリームキャラメル」明治製菓(現:明治)昭和30年頃

⑦ 外箱「明治サイコロキャラメル」明治製菓(現:明治)昭和中期

⑧ 外箱・中箱「明治チョコレートキャラメルデラックス」 昭和33年頃

⑨ 中箱「森永ミルクキャラメル」/森永製菓 昭和中期

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋

 

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

ライターのプロフィールを見る

あなたにおすすめのお菓子記事