2022.03.25

お菓子な博物館 第27回 ~ 桜・さくら~編


目次

 

 

春とはいえ、まだ肌寒い日もありますが、今年(2022年)も続々と桜が開花しているようです。

和菓子屋やスーパー・コンビニなどでも桜のお菓子が見られる季節になりました。

そこで、今回は桜にちなんだものをご紹介したいと思います。

さくら

出典:写真AC

 

 

1. 桜のお菓子

 

桜のお菓子というと、まず思い浮かぶのが「桜餅」ではないでしょうか。

しかし、関東と関西ではこのような違いがあるのをご存じですか。

関東風・関西風の桜餅

出典:写真AC

 

(左)関東風の桜餅:こしあんを薄いクレープ状の生地で包んだものです。

(右)関西風の桜餅:粒あんをもち米で包んだもので“道明寺”とも呼ばれます。

ぜひ、食べ比べてみたいですね。

 

版画 桜餅「田舎侍」

まず、ご紹介するのは歌舞伎の一場面を描いた浮世絵で、桜餅屋の前の「田舎侍」を描いたもの。

絵師は三代豊国で万永元年(1860)頃のものです。

左上には桜の木、右端には杵と臼も描かれていますね。

 

 

看板 桜餅

月次新菓「桜餅」の木製看板です。(高さ 約136cm× 幅 約30cm)

実はこの看板、中央の窓枠部分が入替できるようになっており、月毎の新しい菓子を案内していたと思われます。

たまたま、桜餅が入った状態で保存されていました。他の月のお菓子は何だったのか、興味を惹かれますね。

 

 

看板 花より(だんご)お茶処 ③

こちらはお茶処の木製看板です。(高さ 約48cm × 幅 約65cm)

「花より“団子”(だんご)」で串団子の絵が描かれています。

“団子”つながりでお皿が載っていますが、これは京都で春に行われる「都をどり」の茶席で用いられる団子皿です。

(※お皿は同じような団子が描かれているという参考資料です。)

 

残念ながら、看板は2点とも、使用された年代や場所が不明です。

 

 

2. 桜の描かれた引札(ひきふだ)

 

桜のお菓子ではありませんが、明治時代後半頃の引札<商店のちらし広告>の中から、桜の描かれたものをご紹介したいと思います。

 

引札 女性 御菓子まんぢう并ニ慶事仏事 御好に応ず ④

菓子店の引札「御菓子まんぢう 並ニ慶事仏事 御好に応ず」

桜の下に女性が立っている図柄です。桜の色がとても鮮やかで、着物の柄も綺麗ですね。

お花見のようですので、手にしているのは日傘でしょうか。

 

 

引札 御菓子製造おろし小売 文明開化

引札「御菓子製造おろし小売」

遠くに富士山、そして桜の咲く中を、自動車をはじめ自転車、飛行機、飛行船、気球、ボート、電車まで「乗り物尽くし」です。

自動車を運転しているのが子ども(しかも左ハンドル‼)というのも、引札ならではの楽しい図柄になっています。

 

 

※引札(ひきふだ)についてはこれまでも何度かご紹介しています。

お菓子な博物館 第12回 ~丑年 牛の描かれた引札 前編~

お菓子な博物館 第21回 ~10月14日は鉄道の日!! お菓子と鉄道~編

 

 

さて、今回はここまで。

コロナ以前のようなお花見は今年も難しいかもしれませんが、桜が咲いているのを目にするだけでも、何だか癒される気がします。

この時期限定の桜のお菓子でも食べながら、花見気分を味わいましょう。

 

 

※前回の記事はこちら

お菓子な博物館 第26回 ~ 3月12日は「だがしの日」~編

 

 

<今回の展示品>  

① 版画 「櫻餅 田舎侍」 三代 豊国/万延元年か  約36×25cm

② 木製看板「月次新菓 桜餅」 有芳堂/ 約136×30×5cm

③ 木製看板「花より(だんご)お茶処」/ 約48×65×4.5cm  

④ 引札「御菓子まんぢう 並ニ慶事仏事 御好に応ず」 菓子房商店/明治時代後期 26×36cm

⑤ 引札「御菓子製造おろし小売」 大山朝日堂/明治時代後期

 

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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