2022.01.11

お菓子な博物館 第25回 ~江戸時代のお菓子な双六 後編~


目次

 

 

2022年がやってきました。お正月はどのように過ごされましたか。

さて、前編に引き続き、双六(すごろく)のご紹介です。今回は餅尽くしのおめでたいもの、さて一体どんな双六(すごろく)なのでしょうか。

 

お菓子も登場する、江戸名物の双六(すごろく)を紹介した前編はこちら

お菓子な博物館 第24回 ~江戸時代のお菓子な双六 前編~

 

 

1.双六(すごろく)のパッケージ

 

双六(すごろく)のパッケージ①-1

まずは、今回ご紹介する 『新版餅尽愛度双六 (しんぱんもちづくしめでたいすごろく)』が入っていた袋です。

左側の絵がない部分は後ろに折り返して、双六(すごろく)を包む形になります。

歌舞伎役者の描かれた、表紙部分のサイズは約25×19cm。(※双六は折り畳まれて入っています。)

「すごろく」の漢字表記も、よりめでたい「寿古六」表記になっています。それにしても、インパクトのあるパッケージですね。

 

 

 

2.餅尽くしの双六(すごろく)

そしてこちらが、『新版餅尽愛度双六 (しんぱんもちづくしめでたいすごろく)』 です。

作者は鶴亭秀賀(かくていしゅうが)、絵師は一恵斎芳幾(いっけいさいよしいく) で大きさは約72×49cm。

幕末の安政4年(1857)のもので、2022年のちょうど165年前にあたります。

 

 

餅①-2

よく見ると、マスにはすべて「〇〇もち」の付く言葉とそれを表す人や物などが描かれています。

実は、餅と言ってもほぼ食べられる餅は出てこない、洒落(しゃれ)のきいた双六となっています。

 

 

鑓餅(やりもち=槍持ち)①-3

振り出しは「鑓餅(やりもち=槍持ち)」。サイコロを振って出た目のマスへ飛ぶ「飛び双六」です。

例えば、《五》が出た場合は「力餅」(ちからもち)のマスへ飛びます。

では、他のマスを見てみましょう。

 

 

 

菱餅(ひしもち)①-4

唯一といってもよい食べられる餅が描かれたマス、「菱餅(ひしもち)」 (しかも大きい‼)

桃の節句に雛人形に供えられる菱型のお餅としてよく知られています。

このマスに飛んだ場合は《一》か《三》か《六》の目が出ると次のマスへ飛べるようです。

 

 

 

衣装餅(いしょうもち)①-5

こちらは「衣装餅(いしょうもち)」

たくさんの衣装を持っていそうですね。

 

「尻餅」①-6

おっと危ない‼「尻餅」

猫?を踏んづけそうになったのでしょうか。

 

 

 

柏餅(かしわもち)①-7

「柏餅(かしわもち)」 のマスなのですが、一体何の絵でしょう。

どうやら、布団を折り返しているのが「柏餅」状態のようです(笑)

 

 

金餅(かねもち)

そして「上利(あがり)」は、というと「金餅(かねもち)」でした。

後ろに山積みされているのは、もしかして小判の入った箱なのかも。(あくまでも筆者の想像です。)

 

まさに、餅尽くしの双六(すごろく)、楽しんでいただけましたでしょうか。

他のマスも面白いのでもっとご紹介したいところですが、今回はここまで。

 

 

さて、お正月らしく、おめでたい双六(すごろく)から始まりました「お菓子な博物館」、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

※前回の記事はこちら

お菓子な博物館 第24回 ~江戸時代のお菓子な双六 前編~

 

<今回の展示品>

① 版画 「新版餅尽愛度双六」(袋付き)

 作:鶴亭秀賀 絵:一恵斎芳幾  板元:辻岡屋文助/安政4年  約72×49cm

 

 

所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋      

 

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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