2021.12.22
お菓子な博物館 第24回 ~江戸時代のお菓子な双六 前編~
目次
2021年も残りわずかとなりました。もうすぐお正月ですね。
お正月には「かるた」や「双六」、といった昔ながらの遊びをされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、江戸時代末期に作られた、お菓子が登場する双六(すごろく)をご紹介したいと思います。
1. 双六(すごろく)とは
出典:写真AC
双六(すごろく)の語源は、元々サイコロを2個振ることから、勝負を左右する一番大きい数「双方が六」から「双六」、だと言われています。もちろん諸説あるそうですが、そう言われると納得ですね。
双六(すごろく)そのものの歴史は古いのですが、私たちがよく知るものは「絵双六」と呼ばれるもので、江戸時代に流行し、特に旅行気分が味わえる「道中双六(どうちゅうすごろく)」などが人気だったそうです。
2. 江戸名物の双六(すごろく)
こちらが、江戸の名物を描いた『新板 大江戸名物双六(しんばんおおえどめいぶつすごろく)』 です。
①-1
絵師は玉蘭貞秀(ぎょくらんさだひで) で大きさは約44×67cm。
幕末の嘉永5年(1852)のもので、2022年のちょうど170年前、ペリーが浦賀に来航する前年にあたります。
①-2
ふり出しは「日本橋魚市」。ここからスタートして、左上の上り(あがり)まで、38マスの名物をたどって順番に進んでいく「回り双六(すごろく)」です。
①-3
上り(あがり)は「江戸城の大奥」らしきところです。ゴールなだけあって、色鮮やかですね。
それでは、当時の江戸名物の中から、お菓子に関係するマスをいくつかご紹介していきたいと思います。
3. 江戸の名物お菓子
①-4
最初に登場するのは「隅田川桜もち」
隅田川の名物、桜餅は籠(かご)入りで売られていたようです。
①-5
(上)「鳥飼松風せんべい」 菓子を運ぶ容器を店頭に置き、看板としていました。
(下)「竹村かた巻」 巻せんべいが名物だった菓子屋の贈答用の箱が描かれています。
①-6
(左)「淡島屋かる焼」 金太郎が描かれた袋です。
“かるやき"は「病が軽くなる」と、お見舞い品としても重宝されたそうです。
(右)「鈴木ようかん」 幕府御用菓子司だった鈴木越後の練羊羹。ご挨拶しているところでしょうか。
①-7
上りまであと10マスのところにあるのが、「麹町おてつ 牡丹もち」。
黒と黄色いものは、あんこときな粉でしょうか。おやつにお茶を飲みつつ食べたいですね。
さて、双六(すごろく)と名物菓子を楽しんでいただけましたでしょうか。
お菓子だけでもこれだけ登場するのですから、江戸の人たちにとっても、菓子は身近な存在だったのでしょうね。
次は、餅がたくさん出てくる双六(すごろく)をご紹介したいと思います。
しかし、今回はここまで。後編へと続きますので、お楽しみに。
※前回の記事はこちら
お菓子な博物館 第23回 ~ 昭和中期のパッケージ<キャラメル> 後編~
<今回の展示品>
① 版画 「新板 大江戸名物双六」 玉蘭貞秀・板元 蔦屋吉蔵/嘉永5年 約44×67cm
所蔵及び掲載画像撮影:株式会社山星屋
yoshi
お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)