2026.07.20

いよいよ夏休み、暑い日に食べたくなる涼しげデパ地下スイーツ〜和菓子編〜 お菓子パッケージの世界 第44回~


夏休みが始まるこの季節。照りつける日差しの中を歩いていると、ひんやりと涼を感じる和菓子が恋しくなります。冷蔵庫でよく冷やした寒天や葛菓子、きらきらと透き通る錦玉羹。見た目にも涼やかな和菓子は、日本ならではの夏の楽しみですよね。

そんな夏のお菓子を探しに今回は、日本橋三越本店のデパ地下を訪ねました。全国各地の老舗や名店が一堂に会する和菓子売場は、まるで日本各地を旅しているような気分になります。今回はその中から、見た目も美しく、暑い日にぜひ味わっていただきたい涼菓を4品ご紹介します。

1.滋賀の自然が育んだ美しい涼菓「叶 匠壽庵」の「夏の玉露地」

最初にご紹介するのは、滋賀県大津市に本店を構える「叶 匠壽庵」の「夏の玉露地」(260円+税)です。

1958年創業の叶 匠壽庵は、「農工ひとつ」を理念に掲げ、自社の農園で育てた素材も生かしながら四季折々の和菓子を作り続けている人気店です。全国の百貨店にも多く出店し、季節感あふれるお菓子を楽しみにしているファンも少なくありません。

「夏の玉露地」は、思わず見入ってしまうほど美しい一品。やわらかな餅羹の上には、黒小豆と白小豆が散りばめられ、その上を透き通った錦玉羹が優しく包み込んでいます。

まるで木漏れ日の下に輝く水辺を眺めているような透明感。光を受けるたびに表情が変わり、食べる前から涼を感じさせてくれます。

口に運ぶと、もちっとした餅羹のやさしい食感と、小豆のふっくらとした風味が広がります。甘さは控えめで後味もすっきり。冷蔵庫でよく冷やしていただくと、暑さを忘れさせてくれる上品なおいしさです。

2.シンプルだからこそ素材が際立つ「たねや寒天 マンゴー」

続いてご紹介するのは、同じく滋賀県を代表する老舗「たねや」の「たねや寒天 マンゴー」(500円+税)です。

明治5年創業のたねやは、近江商人の精神を受け継ぎ、素材を大切にした和菓子づくりで知られる名店。季節ごとの美しい生菓子も人気ですが、夏になると毎年楽しみにしている方が多いのが「たねや寒天」です。

全部で6種類ある「たねや寒天」は、「抹茶」「清水白桃」「小豆」「黒蜜きなこ」「夏みかん」「マンゴー」と、それぞれ違った魅力があります。

その中でも、私が特に夏らしさを感じたのが「マンゴー」。

器に寒天を盛り付け、鮮やかなマンゴーピューレをかけると、一気に南国の雰囲気に。透明感のある寒天の清らかさと、濃厚で香り高いマンゴーの組み合わせが実に爽やかです。

寒天はほどよい弾力があり、つるんとなめらかな口当たり。マンゴーの自然な甘みと酸味が加わることで、暑い日でもぺろりといただけます。

和菓子でありながら、どこかトロピカルな気分も味わえる、新しい夏の定番になりそうな一品です。

3.400年受け継がれる葛づくりの技「森八 宝達葛くずきり」

三つ目は、石川県金沢市の老舗「森八」の「宝達葛くずきり」(400円+税)です。

森八は、加賀藩御用菓子司として四百年近い歴史を持つ老舗。加賀百万石の菓子文化を今に伝える名店として知られています。

このお店の大きな特徴が、希少な「宝達葛」を使ったお菓子づくりです。

宝達葛は、石川県宝達山の山麓に湧き出る天然の名水を使い、昔ながらの製法で丁寧に精製された葛。約400年もの歴史を持ち、そのなめらかな舌ざわりと透明感は格別です。

「宝達葛くずきり」は、一人分ずつ箱に入っているのも嬉しいところ。付属の押し棒でところてんのように器へ押し出す瞬間は、ちょっとしたイベント気分です。

波打つ美しいくずきりに、家伝の黒蜜をたっぷりとかけていただきます。

この黒蜜にもこだわりがあり、沖縄県・波照間島産の黒砂糖に和三盆糖を合わせた上品な味わい。濃厚なのに後味は軽やかで、葛の風味を引き立てています。

つるりとなめらかな喉ごしは、まさに夏ならではのおいしさ。暑さで食欲が落ちる日でも、するするといただける一品です。

4.青梅の爽やかさが夏を運ぶ「森八 宝達葛 季すずやか」

「森八」からもう一つ、大好きな「宝達葛 季すずやか」(350円+税)です。

こちらは宝達葛を使った涼菓で、小豆などいくつかの味がありますが、今回おすすめしたいのは「青梅」。

透明感あふれる葛の中に、石川県産青梅「紅映(べにさし)」を使ったピューレが閉じ込められています。

ひと口いただくと、青梅ならではの爽やかな酸味とやさしい甘さがふわりと広がります。葛のもっちりとした食感との相性も抜群で、口いっぱいに清々しい余韻が残ります。見た目の涼しさだけではなく、味わいまで涼を感じさせてくれる、まさに日本の夏にぴったりの和菓子です。

 

以上、今回ご紹介した4つのお菓子は、どれも老舗ならではの歴史や技術が息づく逸品ばかり。それぞれに土地の風土や素材へのこだわりが感じられ、日本の和菓子文化の奥深さを改めて実感しました。

今回は日本橋三越にお邪魔しましたが、なんといってもデパ地下の魅力は、こうした全国の名店のお菓子を一度に楽しめること。どのお店でも多くの商品が一つから購入できるので、「今日はこれを一つ」「次はこちらも」と少しずつ選べるのもうれしいポイントです。

暑い日の午後のおやつに、ご家族との団らんに、あるいは帰省のお土産選びに。見た目も涼しく、心まで爽やかにしてくれる夏の和菓子を食べ比べながら、日本ならではの夏の味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

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堤信子さんプロフィール

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福岡県生まれ。県立修猷館高校から青山学院大学経済学部を卒業後、FBSにアナウンサーとして入社、その後フリーに。日本テレビ「あさ天ファイブ」「ズームインスーパー」、TBS「はなまるマーケット」のレギュラーを長年つとめ、現在、フリーアナウンサー、大学講師、コラムニストとして活躍中。また、文具やお菓子箱のコレクターとして、NHK Eテレ「デザインプラス」、NHKワールド「カワイイインターナショナル」、TBS「マツコの知らない世界」「サタデープラス」などにご出演。

▶連載コラム

講談社ファッションウェブマガ「mi-mollet」 文具と雑貨連載ブログ「今日の愛おしいもの~文具と雑貨~」、ライフスタイル連載「お菓子箱ラバー堤信子の愛おしいおやつ、時々珈琲」

▶エッセイ

インスタグラム「イービーエムさやん」 ミニエッセイ連載「あなたのここちよさを作る習慣」

▶書籍

・「TOKYO文具雑貨散歩~旅鞄いっぱいの東京」辰巳出版(新刊)
・「堤信子のつつみ紙コレクション」玄光社 
・「旅鞄いっぱいの京都ふたたび」実業之日本社 
・「旅鞄いっぱいのパリふたたび」実業之日本社
・「旅鞄いっぱいの京都・奈良」エイ出版社
・「旅鞄いっぱいのパリ・ミラノ」本の泉社
・「100人中99人に好かれるありがとう上手の習慣」ディスカヴァー21社
・「ありがとうの届け方」主婦と生活社
・「堤信子の暮らしがはずむちょっといい話」実業之日本社

▶「お菓子パッケージの世界」連載に向けて、読者の皆様へメッセージ

癒されるお菓子、幸せを運んでくれるお菓子を、みなさんとともに五感で楽しみ、その小さな喜びを文字にしていけたらと思っています。 よろしくお願いいたします。
この記事を書いたライター

堤 信子

フリーアナウンサーでお菓子箱コレクターの堤信子さんが、癒されるお菓子、幸せを運んでくれるお菓子を、五感で楽しむ連載企画「堤信子さんと巡るお菓子パッケージの世界」。好きなお菓子は「多すぎて書ききれません!」

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