2020.10.25

お菓子な博物館 第10回 ~イギリス発‼アンティークな菓子缶 編~


目次

 

いつの間にかすっかり秋も深まり、博物館巡りにもよい季節になりました。おかげさまで、この「お菓子な博物館」も第10回目を迎えることができました。(密かに固定ファンがいることを期待しています。)
今回は日本ではあまりお目にかかれない、海外のお菓子コレクションからのご紹介。およそ100年前にイギリスで販売されていたブリキの菓子缶です。19世紀終わりから20世紀初めにかけて、ブリキ印刷技術の発達とともに、さまざまな装飾缶が作られました。中に入っていたのは主にビスケットですが、こんな素敵な缶にお菓子が入っていたなんて驚きですね。

 

※各写真の左下の数字は文末の展示品リストに対応しています。

 

1. いろいろな形のビスケット缶

(1)本棚型

まず、ご紹介するのは、1905年発売の「Bookstand」(メーカー:Huntley&Palmers)です。高さは16cm。 (発売当時の日本は明治38年です。)

1822年創業のイギリスの老舗ビスケットメーカー Huntley&Palmers(ハントレー&パーマーズ)は、ご覧のような装飾性の高いギフト用缶を数多く作っており、コレクターもいるそうです。
この本棚には、当時のベストセラー本も並んでいるそうですが、とてもブリキ印刷には見えないですね。

 

(2)風車型

1924年発売の「Windmill」(メーカー:Huntley&Palmers)羽根まで含めると高さは30cm程。
風車型の缶で窓や人の姿も描かれています。また、羽根は手で回すことも可能です。

 

(3)日時計型

1926年発売の「Sundial」(メーカー:Willam Crawford & Sons) 高さは25cm。

日時計型の菓子缶です。実際に日時計として使うこともできるのか、気になりますね。

 

(4)地球儀型

こちらは、1938年発売の「Glove」(メーカー:Willam Crawford & Sons) 高さは21cm。1938年といえば、日本は昭和13年。

当時の世界情勢がわかる、地球儀型の缶です。一体どこにビスケットが入っていたのかというと、地球儀が半分に割れます。(その為、残念ながらこの写真を撮影する時に少しずれてしまったようです。)ただ、この大きさから考えると、ビスケットはあまり入っていなかったのではないでしょうか。

反対側からみるとこのような感じです。(撮影時期とカメラが違う為、色の違いはご容赦下さい。)
地球儀ですので、もちろんくるくると回すこともできます。

 

2. 日本風の缶

ヨーロッパでは、19世紀後半から「ジャポニスム」と呼ばれる、日本趣味的なものが人気でした。その影響は菓子缶にも表れています。

 

(1)屏風型

1913年発売の「Screen」(メーカー:Huntley&Palmers)高さは19cm。
「Screen」はついたてや屏風を意味します。実はこの2点は同じ缶で、周囲に4つの浮世絵風の絵が描かれています。

 

(2)カレンダー型

最後にご紹介するのは、こちら。年代や作品名は不明ですが、(メーカーはGEO BASSETT&CO)手回し式カレンダー型の日本風の菓子缶です。高さは約18cm。
食べた後もカレンダーとして部屋に飾っておける優れもので、右下にはきちんと「日本」の文字も入っています。

こうしてみると、菓子缶とはいえ、様々な発想力と技術の高さに感心するばかりです。

初の海外特集、いかがでしたでしょうか。以前、ご紹介した日本の菓子缶と比べてみるのも面白いです。イギリスの缶が大人向けの美術品的なものであるのに対して、日本の缶はやはり子ども達が遊べるように作られている気がします。こういったお菓子文化の違いも興味深いですね。
また機会があれば他の国の菓子缶などもご紹介したいと思います。

 

※日本の、おもちゃのような菓子缶  第6回~お菓子な玩具(おもちゃ)編~はこちら⇩

> お菓子な博物館 第6回 ~お菓子な玩具(おもちゃ)~編

※前回の記事はこちら⇩

> お菓子な博物館 第9回 ~昭和初期版 全国お菓子で旅巡り 後編~

 

<今回の展示品>

① 菓子缶 「Bookstand」 本棚型 / イギリス Huntley&Palmers  1905年  10×12×16 cm

② 菓子缶 「Windmill」 風車型 / イギリス Huntley&Palmers 1924年  9.3×9.3×31.5 cm

③ 菓子缶 「Sundial」 日時計型 / イギリス Willam Crawford & Sons 1926年   12×12×25.0 cm

④ 菓子缶 「Glove」 地球儀型 / イギリス Willam Crawford & Sons 1938年  14× 12×21 cm

⑤ 菓子缶 「Screen」 屏風型 / イギリス Huntley&Palmers 1913年  10.5×10.5×19 cm

⑥ 菓子缶 日本風 カレンダー型 / イギリス GEO BASSETT&CO 1900年代前半頃 15.5×16×18 cm

 

 

所蔵:株式会社山星屋

この記事を書いたライター

yoshi

お菓子と歴史が大好きな、「お菓子な博物館」の専属学芸員。ここでしか見られない、貴重なコレクションを独自目線で皆様にご紹介します。好きなお菓子はロングセラーの定番商品。でも新製品も気になる(笑)

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